やはりこれは欠かせない/日本語版があるのは知らなかった
ウクライナの最近を知る本、となればやはりこの本は欠かせない。「ウクライナ・ファンブック」とうたっているが、具体的で充実した内容だ。
なんといっても、現地にいて丁寧に情報を集めたものを出しているからだろう。
昨日取り寄せたばかりで、まだ細かいところまで吟味していないが、ファンブックはご謙遜というか、かなり良質のレポートであるとの印象を受けた。
買う前に見ていたamazonの書評では、ロシアに対する反感がある、という意見もあった。良し悪しは別としてそれは事実だろう。
ロシア流のやり方で旧ソ連時代の利権と「名誉」を守ろうとしている。こうした人たちにとって条約、契約や法規は必ずしも(穏便な表現をすると)最優先事項ではない。相手に強制力やカウンターパンチがあってはじめて遵守が期待できる。
様々な揺さぶりをかけやすいタイミング・地域を狙ったアプローチは古今東西なくなることはない。
ウクライナのように不安定な地域には、見える・見えないにかかわらず外国からこの種の働きかけ(友好条約、協力協定、国際交流、情報工作、世論・印象操作、心理戦などの言い方はある)にさらされる。
日本でも60-70年代の自称市民団体の一部にKGBから資金が流れていたことは、ソ連崩壊後に判明した事実だ。
ロシアのやり方はソ連時代と比べて洗練されていないので、ちょっと表面に出すぎているのかもしれない。なお、旧ソ連に限らず洗練されているからよいというわけではない。しばしば、もっと悪辣なやり口であることが多い。
表には出てこないが、近年、対ウクライナ貿易額を大きく増やす中国による浸透もある。
話は少しそれるが、近くの南欧の数か国において、英語ではなく現地語でBot(ボット)を活用した世論への働きかけ(操作)を中国が行っているというのは知られた事実である。
善悪の判断はさておき、ロシア・中国に限らず様々な働きかけが当然に行われるのは昔も今も変わらない。西側の国も日本も善悪は別として全く「手が白い」というわけではない。
ところで著者の方は、UKRINFORM通信の日本版編集を務めていらっしゃるということで、これも驚いた。UKRINFORM日本版は、2018年度より運用されていたそうである。
私はウクライナ愛好志願者の入り口にいるに過ぎないが、最近まで知らなかったことを告白しなければならない。UKRINFORMは専ら英語版を情報源として利用していたが、日本版があったとは。
もとの素材は同じであっても、編集者により記事表示の重み付けも変わってくるはずなので、編集者による視点が加わった別物とすら考えている。
「勧める」というのは誠におこがましいが、自らの情報収集には重要なソースの一つとしたい、と言うことはできる。
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現地からの視点も大切だが、それでも外部から見た分析の重要性は変わらない。外部の分析は捨象・単純化されてしまう側面はあるにしても。
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